PERは株式益回りの逆数です
株式益回り
PER10なら益回り10%。
これは間違いないんだけど、この表現は誤解を生んでるよね?という話で、益回り10%は決して年に投資資金が10%回収できることが見込めるとかそういう話じゃないよね?って疑問から始まる・・
PERPBRそしてROEから何を読み取るのかって話。
ちなみにこの辺りも踏まえてのまとめ。下の2つは続きのTweetもあります。
PERが益回りの逆数(PER10のとき、株価の10分の一の企業利益がある)はそうだけど、でも低PERが高リターンになるってのは違うだろと感じてて。計算してみた。
— かもめ (@kamomejan) 2020年9月28日
PERもROEも変動しない、EPSが配当なしでそのままBPSになるという条件なら、リターンはROEと一致します。PER(と同様に益回り)は関係ないね。 pic.twitter.com/lHddhYaT3s
その視点でいうといくら低いPERで買おうとPERをあげる誰かがいない限りはそれは投資パフォーマンスに影響ないですね。さらにいうとそのPERはゼロサムゲームにおける立位置以上でも以下でもなないとは言える。
— かもめ (@kamomejan) 2020年9月28日
とりあえずPER10=株式益回りが10%が毎年10%増えるとか10年で投資金額回収できるとか言うなら間違いですね。
— かもめ (@kamomejan) 2020年9月28日
それを示すのはROEです。ROE10%なら複利で7年ちょい。ROEPERが不変で配当のもらい方にもよるという条件は付くけど。
ちなみに計算上の話で実際にそのまま適用するかというと違うぞってなることも多いくらいのざっくりとした抽象的な傾向の話なので気をつけてね。
参考
PERが低いほどそれは早く回収できるぞという言い分がありまして
そういうのを聞くたびに違うのではないか?と引っかかってたんですが、ふと改めて計算したんです。
PER2のROE3%及びPER30のROE30%という条件のものを。
以下の条件でね。
・ROE及びPERは常に一定である
・EPSは配当などで配られず全部BPSになる。
計算結果は以下です。
PER2(株式益回り50%)のROE3%
回答は年複利3%です。
PER30(株式益回り約3.3%)のROE30%
回答は年複利30%です。
PER2は14年たっても1.5倍ちょいで倍にも行ってないですが、PER30は、3年後には倍を超えてます。
益回り50%より益回り3.3%のほうがはるかに高い投資パフォーマンスが出るというか、はるかに速いです。
・・・と、いうより
・ROE及びPERは常に一定である
・EPSは配当などで配られず全部BPSになる。
以上の条件を置いたときに投資パフォーマンスとはROEです。
その場合ROEが投資パフォーマンスなんです。
まず一つの結論は・・
この場合はPERが低い、株式益回りが高い・・それが50%とかであろうと・・
それは見込み投資パフォーマンスなど表してないので気を付けてください。
という話ですね。
だから見込みパフォーマンスを示すものがあるとするならそれはPERとかよりはるかにROEのほうが近いです。
ただこれは配当が出ないつまり配当性向0%の時の話ですね。
上のツイートをしたときに突っ込まれまして。
配当性向100%ならROEなんかどうでもよくて、利回り10%と考えることができますね。
— すぽ (@spo_toushi) 2020年9月28日
そこでやり取りもありましたが。
改めてじゃあ配当性向100%の時を考えてみよう。ってことでこれも計算しました。
・ROE及びPERは常に一定である
・EPSはすべてBPSにならず配当になる。
以下です。
PER2倍、ROE3%で14年後に7.5倍のリターン(単利年50%)
PER2倍、ROE30%で14年後に7.5倍のリターン(単利年50%)
PER30、ROE3%で年後に0.5倍のリターン(単利約3.3%)
これには比較にPBRも入れてみましょう。その場合0.9です。
PER30、ROE30%で年後に0.5倍のリターン(単利約3.3%)
これにも比較にPBRも入れてみましょう。その場合9です。
この条件を置いたときに投資パフォーマンスとはPER(というか配当利回りだと思いますが)です。
・ROE及びPERは常に一定である
・EPSはすべてBPSにならず配当になる。
その場合PER(配当利回り)が投資パフォーマンスなんです。
この条件では投資リターンはROEとは関係なくリターンを決めるのはPERというか、配当利回りですね。というか企業条件が変わらなければ株安株高はPER PBR配当利回りいずれも等しく動くのでここではリターンを決めるのはPERでもPBRでも配当利回りいずれでも間違いでは無いです。まあ配当利回りで見るのが一番わかりやすいですかね。
加えていうなら配当性向100%の時、配当利回りは株式益回り=PERと一致しますね。だから計算上はね。
もっと加えるとROEが高いほどより高いPBRでも配当利回りが高くなるってところはありますね。そこの部分すこしROEも関係あります。
今回のようにROE及びPERが不変とした場合はリターンは一定ですが、実際はROEもPERも可変でROEが低下した場合はひどい目に合いそうなので、実務上では配当性向100%(に近い場合)は同じPERでもより低いROEであることが望ましいというふうにも見れそうです。
仮にPER2のROE30%のケースでROEが10%になるなら株価900に対して配当が100で単利50%は単利16.6%ほどまで低下してしまいますし。それは3%から1%も一緒ですけど30%を維持するのと3%を維持するなら後者の方がラクなように思えますし。
そういうわけでここまでの結論は
株式投資のプラスサムのリターンは・・
配当性向が低いほどROEが支配的で
配当性向が高いほど配当利回り(=PER=PBR)が支配的ということです。
このような視点で見てた人は少ないのではないか。
これは以下のようにも言い換えられます。
配当性向が低いならROEが重要だ。
配当性向が高いならPERが重要だ。
あとは配当性向が高い場合はPERがリターンに支配的だが高ROEからの低下の可能性を鑑みると高ROE高PBRとの組み合わせより低ROE低PBRのほうが望ましいを加えるか加えないかって感じですかね。
このような視点で見てた人は少ないんじゃないか?
まあ実務上ではこれをそのまま使うのは色々不都合も出てきそうですけどね。
なところですが・・
実際の株式市場をみるに・・
・平均を取れば配当性向は50%を下回りそうで、つまりPERよりはROEよりと考えられる。
・配当利回りは頑張っても7%ほどでそれ以上は買われてしまい安くならない一方ROEは高くなっても見込めるリターンほど買われないケースもままあるというか、高ROE(成長率)は価格でプラスサムが調整できないって言ってることわからないか。配当利回りは買値配当利回りが7%に調整されうるというか配当が不変で利回り7%なら文字通りずっとリターン7%だけど、成長率が不変で20%でPERも不変と考えた時にリターン7%になるという株価は理屈として存在しないというかROEというか成長率とPERが不変であるならどこで買おうとリターンはその成長率になる。
・PERというか配当利回りにはそのままでは複利が効かないこと。ROE10%の無配と配当性向10%のPER10つまり配当利回り10%は同じ利回り10%ですが、これが倍になると見込める時間は、ROE10%は7.2年に対し配当利回り10%は10年です。(これは、配当を即再投資に向けるなら差は縮まりますね。節税効果があるかないかくらいかですかね)
以上3つぐらい(前者の二つが大きめの理由)から、自分はPERというか配当利回りよりはROEをより上位に置くのがいいかと考えています。
まあ実際にもPER5で無配のROE20%はあり得るだろうけど、PER5の配当性向100%はまあありえないというか配当利回り20%になるからね。まずもっとPERが上がることになる。
と、ここまで聞くとPERディスのROEアゲのように聞こえるかもしれません。
そのようなところもないわけでは無いんですが、だからといってPERは無視だ、ROE高いの買うぞ!なんて結論は危ないというか、自殺するようなものです。
なぜってここまでの前提は全てPER(ついでにROEもPBRも配当利回りも)不変という条件の中で投資のプラスサムをどう考えようか?という話だからです。
実際にはPER(=配当利回り)は可変ですしROEも変わります。
変わるのなら、変わる中でPERの重要性は増します。これも踏まえると上のROEをより重視は霞むというか、上のROEをより重視は「ゼロサムは置いといてプラスサムのリターンを考えるときは」という意味です。
PERには配当性向が高い時ほど期待されるリターンを示すと同時にゼロサムゲームの中の持ち札と言うか立ち位置を示すという意味もありそうです。
低いPER(≒低いPBR≒高い配当利回り)で買うことは他のプレイヤーに対し有利なカードを持つことに近い意味を持ちそうです。
故にPERなんて重要じゃ無いじゃんとかいう気はさらさらないのでご注意を。
もう一つまとめると
株式投資のプラスサムリターンを考える時において
配当性向が低いほどROEが高いことが望ましいというか高く見込める。
配当性向が大きくなるほど、PER(だから≒PBR、配当利回り)低いことが望ましいというか高く見込める。その中で同じPERであっても高ROE高PBRよりは低ROE低PBRがより望ましい。
ゼロサムリターン?を考える時において
PER(≒PBR≒配当利回り)で有利に買うことが重要だ。
って話ですね。後者は必ずしも絶対値で低いことが重要じゃなく、より高い場所で買う誰かがいるかどうか?って話になると思います。
ROEの変動も踏まえるとよりややこしくなりますが、ROEが向上するならゼロサムプラスサム共に有利に働き、減るなら大いに不利に働きそうです。
以上です。
いずれにせよ、個別事例を見ていけばいくらでも反例や齟齬も出て来るところだと思うところですが、大枠な傾向というか銘柄選定の考え方として、留意しているのもいいのかな?って思ったりします。
このように整理つけておくと銘柄選びの際の狙いもより明確化できるかな?ともおもうところで自分は意識していきたいかなって思うとこです。
よろしければ参考に。
PERとPBRとROEをもう少し理解して・・
あなたはどのように考え選びますか?