プロスペクト理論なるものがあります。
これがわかりやすいですかね。
「プロスペクト理論(prospect-theory)とは… 不確実性下における人間の意思決定をモデル化した理論です。 行動経済学でもっとも有名な理論です。」
とのことですが、上の記事はなかなかいろいろあって面白いところですし、もっと本気でそのへんを知りたい人は・・
以下の本とか読んで頂くといいかもしれない。下の方が読みやすいですね。
まあ、ここではその中でも”損失の痛み辛さは利益の嬉しさより倍大きい”とかがまことしやかに言われててたぶん実際正しそうなのですが、これを用いての手法の整理みたいなお話。
損失は利益の倍辛い。
これは字面ではそうか。なんて感じだけどこれによって生まれる悲劇(喜劇?)なこともあるんですよ。
投資家はそれが稼ぐ人であっても、というか稼ぐ人のほうが辛いと言ってる人は多そうな印象です。インデックス投資家とかほぼツライとかいいませんしね。
自分もよく投資家さんがそれもかなり成績優秀な人が辛いなどといってるのはよく聞きます。
そして時にはあまり芳しくない成績の人により優れた成績の人が辛いなどという悲劇が展開されたりもするようですというより自分ならされたことありますね。
でも、これってプロスペクト理論で説明できるんですよ。
プロスペクトでは損失は倍辛い。
以下のケースで考えてみましょう。
Aさん。
年初から資産評価150万プラスになって-50万マイナスになってトータル100万プラスは・・・
150万ウレシイ+(50万ツライ×2)でトータル50万ウレシイです。
+100万で50万ウレシイですね。
Bさん。
年初から資産評価1000万プラスになって-700万マイナスになってトータル300万プラスは・・・
1000万ウレシイ+(700万ツライ×2)でトータル400万ツライです。
+300万で400万ツライですね。
+100万より+300万のほうがツライなんてケースが出てくるんです。
それで+300万儲けた人が+100万の人に株ツライなんていうわけです。
それを聞かされる+100万の方はそれを知ったら
「ふざけんじゃねえぞこの野郎っ・・・!」
と思うことうけあいですし、ときには-50万あたりの人に+1000万あたりの人がツライと語る不合理も結構起きてそうな気もしますがプロスペクトによるとより増やしててもよりツライとなるのでこれは世界の摂理として受け取るしかなさそうです。
Aさんの立場になることも多そうな自分としてはまったく不条理なものだと思います。
これは世界の不条理とも言えるいわば世界のバグだと思いますが同時に投資の世界ではよく起こる事になりそうです。
なぜなら投資手法というものは、基本増えやすいものは減りやすいからです。
それでここからが本題という感じですが、以下は自分より成績がいいやつが俺に愚痴る不条理を思い返し涙しながら、これは各手法でどの位置か?ってのを概念的にまとめた図です。
株式投資の増減しやすい及び扱いやすい手法の概念図
あくまで一般的な傾向と捉えてくださいませ。
まあ雑な図ですが、おおよその傾向はこのようなものと感じてますね。
上に進むほど増えやすい手法であるし、右に行くほど減りにくい手法となりそうです。
インデックスとか下に置いてますがもちろんインデックスすれば減らないで増えるとか言ってません。あくまで図の中にあるものでの相対図です。貯金とか債権などを入れるならインデックスよりもっともっと左下に位置づけられる事になります。
でも何をどこに置くか?は人によって違いそうなところはありそうですが一般化するとこんなものじゃないでしょうか?
人によって違うとは、バリューで守るのは苦手だけどモメンタムで守るのは得手とする人もいるかもしれないというか向き不向きで個人レベルではかなり位置が違ってくることはありますが・・
基本として・・
・増えやすいものは減りやすい
・減りにくいものは増やしにくい
・減りにくく増やしにくいものは扱いがより簡単
・増えやすく減りやすいものは扱いがより難しくうまく扱う難易度が高い
・難易度が高いものはうまくできる人が少なくなって成果を出せる人がすくなくなっていく
みたいな傾向はある気がしています。
さてどうでしょうか?
で、これで上のプロスペクトの悲劇も説明できるというか。
なぜ増えやすく減りやすいものが扱いづらいのかですね。
増えやすいものほど、大きく増えて大きく減りますので損失が倍ツライ法則により、よりツライことが多くなるはずなんです。故に大きく増える手法ほど、大きく減るツラサを乗り越える必要があり、ツライが大きいほど冷静さを維持するのが困難になるがゆえに、儲かる手法ほど扱い難く使いこなし成果を残せる人がすくないとかツラくてたまらないとかなるわけです。
もちろんその人の見識や上手さ・・要するに実力あるいは手法に向いた個性で増やせるケースでより増やせるとか、減らすケースであまり減らさないとかはできると思います。
ただ、優待配当分散投資をかなりうまくやっても、モメンタムをうまく扱う人には投資成績は及ばないでしょう。おそらく遥かに突き放されることになる。
これはバリューとモメンタムでも同様のことが言えます。
同時にモメンタムをうまく扱えない人は増やしやすいを活かせず、減りやすいを回避できないのですごい勢いで減るはずです。そういった人に対してはおそらく優待分散投資をしてるひとはほぼアウトパフォームじゃないでしょうか。
そんな感じのものをこの概念図は表しているのです。
右に行くほどうまく扱えるならより早く増える。
ただし、右に行くほど扱いが難しくなり、うまく扱えないのであるならより早く減ることになる。
左に行く位ほど、うまく扱ってもあまり増えないけど、うまく扱えなくてもあまり減らない。そして扱うのが簡単になるので利益を出せる人も多くなってくるし手法に対して高い実力や習熟度も要求されなくなる。
この図は・・
増やしやすいのに減りにくいものなんてない。
増えやすいものほど扱いは難しく利益を出せる人は少なく
増えにくいものほど扱いが簡単になり損失じゃなく利益を出せる人が増えていく。
というのを概念的に表した図なんです。
だから各手法は各個人の個性や市場環境でいくらか動くと思います。あくまで概念ね。
ただより一般的で長期の時間軸取るとあまり前後しないだろうなあとは思ってますが。
あとは自分は優待分散が得手とかありこれは実際もうちょっとインデックスとかより上かもとかテクニカル方面とかはまた別の視点があるかもしれない。
というわけです
だからなんだと思われる方もいるかもですが結構役立つ視点かもしれません。
投資で成果がでない。あるいはツラくてかなわんなんて場合は、このより増えない、より減らない手法にシフトするなら、成績が向上しまたツラくもなくなるかもしれません。
または余裕があるなら、より増えより減る手法(の要素)も取り入れてみるとかもできるでしょう。余裕があるならうまく扱えこれも成績貢献するかもしれません。
そんな感じですね。
こう思うと、上のプロスペクトの悲劇は消えそうにありませんね。
その喜劇に耐えながらも手法を振り返り吟味していくその姿勢が投資家には求められるのです。
半分ジョークです。半分本気ですが。
あなたの取る手法はどこに位置してますか?
あなたをそれを扱うのにどれだけ余裕がありますか?
これも手法と成績を考える概念。
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