インフレで株式投資だ
最近インフレ気味ということもあり、わりと耳にする機会も多くなってるようにも思えますが・・・
例えば。
例えば。
例えばでも、見る期間によって短めなら株価は下がるとかいう言説もちらちらですが、長期大枠の一般論だと、現金はインフレして目減りするぞだとか投資ならインフレ率に勝つぞとかその中で金がいいとか不動産とか株式とか言われたりしてますが・・
それで例えばこんなところで
こんなふうに脅されて
それでこんなグラフ出されて三井住友に僕と契約して顧客になってよとか言われたりするわけですが。
そんな中で特に株式はインフレに勝つんだぜとか言われがちとは思ってますが自分は株式がインフレに勝つって表現がいまいちしっくり来てなかったりします。
なぜそのように思うのかとそして、実際インフレが投資にどう及ぼすか?を考察してみようなんて企画。
といいつつ、株式(あるいは不動産あたり)の優位性に帰結するみたいな話。
ちなみに自分はインフレ・デフレはお金そのものの貨幣現象ではなく、価値の供給不足か供給過剰の現象と考えており、その結果がものの値上がり値下がり等の貨幣現象として出てくるという立場でいます。大枠ではこの立場に従って考えた結果になります。
まあ株式投資はインフレに勝ちます。
まあ事実として勝ってますね。
上の図とかそうだし、他の事例でも長期なら長期になるほどあまりインフレ率と長期株価を比較して株価が負けているって事例は少ないのではないか。特に恣意的に日本のバブルの38957円とか取り出して30年で負けてるじゃんとかやらない限りは。
なので、だいたい株式とか債権ならインフレ率に勝つし不動産も統計すれば勝ってるというか負けてたら大家という職業が成り立ちませんね。
それで今回の疑問を感じたのはそもそも現金はインフレに弱いのか?みたいな疑問が浮いたわけでして。
いまふと思った疑問に現金がインフレにこんなに負けますよーとかグラフ見せられるけど言うほど現金インフレに弱くないのでは?という疑問というかあれ金利考慮されてないのでは?
— かもめ (@kamomejan) 2022年7月25日
ということで金利考慮したそうですね。全部その時の長期金利で回してインフレ率比較したもんってあるのかな?
・・というわけで主なもので思考実験的なものをしてみました。
現金(貯金)
まことしやかに現金は目減りするとか買えるものこんなに少なくなりますよとか見せられますが、たしかに現金それ自体はそうですがこれって利子入ってなくね?って思ってます。
そしてこれも時々見ますが、バブル期の郵便定期貯金の利子表。
短い期間の方の金利は当時のインフレ率に勝ってるか怪しいですが、長い方の11.91%は当時のインフレ率に勝つものだったりします。
もちろんタンス預金は論外だし普通預金でそのままとかはかなり不利で負けるでしょうが、現金の貯金だけでも利子を考慮するとなかなかインフレ率といい勝負あるいは勝てるのではないか?とか思ったりするわけです。
時代ごとの利子を考慮した長期の貯金の推移は計算がぐっと難しくなりそうだしそのような計算を見たことはなく仮説ではありますが、おそらく上の図のようにインフレ率3%で1000万が553万になるってことはないだろうと推測するところです。購買力ベースでは増えてるかもしれません。
なので貯金(長期の定期預金ならより)でも思われてるほどインフレに弱くないのではないか?
あるいは勝っちゃうかもしれません。
という仮説というか疑問なのですが一応式っぽいものを作ってみましょう。
(貯金の利子)マイナス(インフレ率)
プラスなら現金でもインフレに負けません。
現金(タンス預金)
これ現金を置いとくだけですね。利子がつきません。
これは普通にインフレに負けそうです。
上記の通りインフレ率3%で20年なら1000万は1000万円だけど、それで買えるものは20年前の553万分になりますね。
(タンス預金/利子なし)マイナス(インフレ率)
インフレすると目減りするだけですね。
インフレのときタンス預金ダメ絶対とはなりますね。
ゴールド等の物質
これは諸条件一緒なら理屈で言うならインフレ率と同等になりそうです。
20年インフレ率3%なら、1000万円で買ったゴールドは複利年3%でおよそ1.8倍で、額面1800万円になってるはずで。この1800万は当時1000万で買えるものと一緒というのが想定はできます。
諸条件というのは金は実需も生産もあるので、そのバランスでインフレ率と完全同期しないと考えられるので。
この実需とか生産のバランスを考えるともうインフレの影響のみを考えるという範囲に収まらなくなります。その性質としては将来希少価値を生むとして美術品や限定品グッズを買うような種の投資?に近くなりこれはインフレヘッジとしての投資とは分けて考えないとややこしくなりそうです。
要は仮に劣化しない物質があるとして、それをお金の購買力が下がるインフレ時に持っておけば購買力が下がるのを避けられるし、タンス預金よりましという話ですね。
利子も勘案した預貯金とどちらがいいかは?かなり判断が難しそうです。これは上記の現金(貯金)のところで挙げた話ですが。
そして劣化しない物質の代表格が例えばゴールドです。他の多くのものはインフレ率とは別に劣化します。家電製品はより高性能なものがでれば落ちるし、時間が立てば性能自体も古くなり劣化するかもしれません。例えばバッテリーなら劣化します。美術品も管理状態によって色あせます。
企業にしても多くの資産を減価償却で価値を減少させる処理を行います。多くのものがときが経つと価値が落ちるとされてるわけで、これと比較的無縁とされてるのが例えばゴールドですね。あとは不動産などもそうされてますね。上モノじゃなくて土地。上モノは価値が減る対象。
(ゴールド等の物質の時間による劣化)<(インフレ率)
上記の場合はタンス預金よりまし。利子つき預金とは比較はデータ不足で困難。
不動産
不動産が出ましたので。上モノは劣化しますが土地は原則として時間によって劣化しないものとされており、土地に関しては劣化しない物質でこれはインフレ時にタンス預金には勝つでしょう。しかしウワモノはどうでしょうというと、これは負ける印象です。
多くの不動産は、買って古くなるに従い価格が安くなる。
つまり不動産がインフレに勝つには・・
時間による劣化<インフレ率である必要がありそうです。
そう考えるとわりと不動産は不利なように思えます。だいたいにおいて買って売るとインフレ率を考慮しても損になる・・・・・
というのは不動産の一面で、もう一面には不動産には優れた性質があると思われます。
つまり運用。
住宅でもオフィスでも貸して家賃を取ることができるし、ただの土地でも駐車場にできるかもしれません。
この運用があるかどうか?で話が違ってきそうです。
それで運用しない山林とかは固定資産税なども取られより厳しいし、もっと住む人がいない住居等は時間による劣化も加わり相当他の条件が良くなければインフレ時のタンス預金にも勝つのが難しいかもしれないとは思うところです。
不動産運用益(損)マイナス(時間による不動産劣化)>インフレ率
上記ならタンス預金よりまし。実際は運用した場合はそれなりに利益が出て多くの場合インフレ率を上回る資産にはなってそうには思えます。
株式(企業)
それで1段見出しを大きくしちゃいますが株式ですね。
上で言ったとおり・・
自分は株式がインフレに勝つって表現がいまいちしっくり来てなかったりします。
なぜかというと株式の強さの根源は他の要因にあると思ってるからですね。
株式というか企業は、上の不動産でいうところの運用を前提としている仕組みです。不動産の山林や休耕地みたいな運用を前提としない不動産はありますが、原則として企業は運用というか利益を出すことを前提にしてます。株式を買うという行為に企業活動をしていないペーパーカンパニーを買うことを通常は指していません。
つまり最初から事業で利益を出し、その利益の一部を持ち主(株主)に還元し一部をさらに利益を増やすように投資運用するという仕組み。
不動産の山林あたりは運用されないというのもありえますが、企業が経営されて事業運用し利益を目指さないというのは基本ありえない。
さらには不動産の家賃等の利益は多くは全部持ち主に還元されますが、企業の多くは還元は一部にとどまり再投資される違いもあります。(これは家賃をさらに新しい不動産購入等の投資に当てるなら不動産も企業と同様になります。)
で、株式(企業)が長期にインフレ時に現金や債権などに勝つのはこの利益を出し再投資する仕組みが故と考えるところなんです。
そして、この仕組はインフレでなくてもデフレでも機能します。
デフレでも企業が利益を出すのなら結局は現金などに勝つことになります。現金は利益出さないもんね・・は言い過ぎで利子は出るので少し稼ぎますね。デフレ時は金利が地に堕ちてますが。
なので式っぽいものをつくるならばこれはかなり複雑になりますが・・
(もらえる配当)プラス(企業が長期に事業で稼ぎ蓄積した資産)マイナス(企業が保有することで劣化する生産機械等の資産)>インフレ率
であるならタンス預金に勝ちますね。というか多くの企業が事業で稼ぐ力はインフレ率より高いので(低いと赤字になり企業資産がどんどん減るはずです)だいたいインフレに勝ちます。
で、テーマ戻るとなぜ、株式がインフレに勝つのかは、端的には企業が利益を出してそれを蓄積し再運用するからであって、これは別にデフレでも勝つので、インフレでもデフレでも勝つものを株式はインフレに強いよね!みたいにいうのはなんかしっくり来ませんね・・となるわけです。
いや、いつでも勝つから。デフレだろうとインフレだろうと。企業が利益出すなら。
と、株式投資家以外にはとても感じ悪い言い分で終わるのですが、この言い分は企業利益がでることに拠ってますので、価値を生産し提供する企業はインフレ時の方が物が売れるだろうという説を採用すると、企業がインフレ時はより利益が出るからインフレ時はより有利だとはすることはできますね。
といいますかインフレを供給不足と考えると供給者たる企業はよりものが売れて儲かりそして逆にデフレは供給過剰であまりものが売れずあまり儲からないという仮説は立てることはできます。
加えて不動産は家賃などの利益を再投資してまた不動産購入などにあてるなら、事実上の株式(企業)と同等になりますねというかそれって、不動産企業の株式買うのと一緒。
あとは企業がどれだけ儲かるか。
これまで散々言ってるので過去記事をいくつか。
例えば。
タイトルで気に入ったものでもあったら飛んでください。
・・・という話でしたというか、今回は株式がやはり総合的に一番有利だという予定調和の結論の中で、いろんな資産でインフレになるとどうなるか・・?みたいなのを考察してみたなんて企画でありました。
間違ってる部分もあるかもですが考えることに価値があるってね。
様々な投資手段でインフレになることがどうなるか?を考えてみませんか?
もっと突き詰めてその投資をより理解してみませんか?