会社の値段とは時価総額です。
時価総額は投資を検討するシーンでもよく出る単語だし、もっと言えばメディアなどにもわりと頻出する市民権も得た単語なのではないかと思います。
その時価総額なんて幻だと言うならどうでしょう?
そして自分は実際時価総額とはかなり幻というか概念にのみ存在する・・
もっといえばあまり実態的に意味のない言葉だと思うところなんです。
そんな話。
投資のシーンで時価総額ってほんとによく聞きます。
この会社がこの時価総額は安くない?
こんな小さな会社がこの時価総額ですか。
この時価総額なら上も狙える。
この時価総額でこんなに動くのか!
まあ多くのシーンで時価総額は基準にされてるようにおもえます。
しかしその時価総額とは実際なんなんでしょう?
まあ会社の値段と答える方もいそうですね。
それは間違いじゃありません。そして会社は全体で捉えようなんてのを推奨する方もいます。そのときは時価総額ですよね?もちろん会社を全体で捉えることも間違いではありません。
しかし自分が問うてるのはそれがどんなふうに決まるのか?です。
それを理解すると案外このみんなも参考にするこの時価総額って実態がないものだと感じる人も多いと思うんですよね。
そしてまたこれは大きくなりすぎて一個人がイメージしにくくなったようにも思えるんです。
そしてイメージは現実に届かなくなる。
時価総額とはそもそもなんなんでしょう?
wikiから。
「時価総額(じかそうがく、Market capitalization)、株式時価総額とは、ある上場企業の株価に発行済株式数を掛けたものであり、企業価値を評価する際の指標である。」
ここで注目してほしいのはそれは「株価に発行株式数をかけたもの」ってところです。
これは計算で出されるものなんです。
実際の投資の取引の現場で時価総額で売買されて決まるものではないし、算出された時価総額を使って誰かが実際にその金額で取引することもまずありません。
31兆円なんて言っても「トヨタを買っちゃおうかなー、はい31兆円ね♪」なんて実際に31兆円動いたりすることはないわけです。
あくまでも実際に取引されてそして動くのは株価であり「トヨタ株は9727円かあ。じゃあおじさん9800円でかっちゃうぞ♪」ってのは実際あるしそうなると98万円のやりとりがされ、株価が9800円に更新される。
そのついでに時価総額が新たな株価から計算され直しいくらか上昇する。この場合0.75%ほどだね。それでも時価総額が31兆なら2300億ほど上がるみたいですね。
まあこの例えで言いたいのは、それが極めて概念的で実際にやり取りされる数字でもなく、そしてもっと極めて小さい金額の取引で、それこそただの数百万のやり取りで下手をしなくても数億、あるいは数千億の値が擬似的に動くようなものだということです。暴落時など市況が荒れるときは普通に兆の数字が動くこともありましょう。もちろん実際に兆のお金のやり取りなんてないけど兆が動いたことにするみたいなものですけど。
と、このように概念的なもので計算上のものだからそんなに動くんだと思うけどね。
そういう意味で僕らが散々参考にし判断基準にもする時価総額なんてもんは実際幻なんです。
それは実態のない幻なんです。
それに値札がついているにしても
それはただの見せ札みたいなようなもんで、だれも実際にその金額を動かしたりしないものです。
・・・というのは語弊がありますね。ときどき時価総額がリアルな数字として取引の現場に出てくる場合もありますね。すなわち買収の場合です。
買収のさいは計算上の概念上の幻の時価総額も実際にリアルに取引される現実の数字としての意味を持つときもあります。
しかしほんとに買収のときぐらいじゃないでしょうか。
トヨタならきっとも30兆やそこらのお金を用意して実際にその金額がやり取りされることはないでしょう。
文字通りトヨタの時価総額はもう実際には取引に扱われないだろう概念上のただの幻になったと言えます。
アップルあたりは200兆越えたらしいですがこれも誰もその金額でやり取りなどしないそしてできない幻の数字です。
今日ほど会社の値段が馬鹿げた大きさになった今、時価総額などたまに買収されるときにだけ意味を持つような幻の数字なんです。
で。結局なにがいいたいのか。
自分はこの時価総額という幻に振り回されるべきではないと考えているわけです。
幻に振り回されるとは時価総額をイメージして現実に追いつかないみたいなニュアンスです。
多くの人は時価総額をイメージすると現実と乖離しがちになると思ってるんです。
会社を全体としてイメージする方法では現実に追いつけないことが多くなってきてる。
例えばオービックという会社があります。
この会社は実績で800億ほどの売上で営業利益480億ほどでそれほど大きな事業規模でないといえます。というか有り体に言えばただの会計ソフト屋です。
ききますが、この会計ソフト屋。時価総額どれくらいが妥当ですか?
そうきくと兆の単位を出す人は少ないでしょう。
しかし実際に時価総額を確認するとオービックは2兆ほどついてます。
オービックが2兆円。たぶん想像できる人は少ないと思います。
あるいはトヨタが31兆これはいいでしょう。
じゃあフェイスブック63兆はどうでしょうか?この記事より今はもっと上でしょう。
FBが決算好調で時価総額「63兆円」突破、利用者は27億人 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)
おそらくですが、トヨタとフェイスブックを想像してフェイスブックの方が値段が高いとスムーズに意識できる人は少ないと思うところですがどうでしょうか?
しかし現実はフェイスブックは63兆円の時価総額がついている。トヨタより上。
そしてそれは例えば大きな主体、米国政府などがフェイスブックに63兆をつけたわけでなく、もっともっとちいさい誰か、ただの一個の投資家がもっとちいさい一株式をその株価で取引したことによってそうなっている。
たぶんもう多くの人の想像は現実に追いつかないようになっているとおもうわけです。人の頭はオービックに兆がつくことを想像できずフェイスブックに63兆はもっと想像できずそして現実に置いていかれてる・・・というよりだいたいの人のバランス感覚はあまり億とか兆の単位のスケールをまともに正確に捉えられない・・・のだと思います。
だから会社が現代のスケール感になった今。現実を見誤りがちになると思うんだ。
もちろんフェイスブックに63兆をつけられないなら、そのやり方は現実についていけてない。だって現実は・・フェイスブックの時価総額は63兆円をつけているのだから。
まあ訓練を積んだ人ならあるいはこのあたりもスムーズに処理できるかもしれません。
オービック?ぜんぜん兆もアリっしょ?
トヨタが32兆でフェイスブックは63兆でアップルは200兆。まあそんなもんでしょ?
ってナチュラルに思えるなら、自分の言うことはそんなに真に受けなくてもいいだろうね。
でも、どうでしょう?
あなたの頭はこのスケールに自然についていけますか?
兆やら億やらのスケールをバランス良く正確にイメージできますか?
まあ答えはどっちでもいいです。
できるなら時価総額で考えればいいと思うだけです。それが幻じゃなくリアルに見えるならそれを使い判断すればいいだけです。
しかしできないなら。
まだあると思うんです。
まだイメージが現実に届くものが。
すなわち株式。
自分は一株で考えてます。
純利益とPERと時価総額ではなくてEPSとPERと株価。
株価ならそれはリアルに自分が行うやり取りで、2000円で100株買うぞーってなるなら、20万円は実際に払う金額です。
EPSはかなり概念っぽい数字ですが、そこから出される6000円の配当はこれまたリアルに自分がもらう金額です。
そこにはあきれるほどでかくなってイメージしにくくなってそして誰も実際にその金額を動かすこともできなくなった時価総額とは違う、実際に自分がやりとりする株式があります。
それを踏まえてオービック・・・の株式を見てみましょう。
この記事時点でオービックのPERは45ほど。
オービックのこれまでのEPSの成長性や安定や収益性などみると自分はいまついてるPER45はまあちょっと過大評価とは思うけど、そう思うくらいで色をなしてバブルだ言うほど高いようにも感じません。
投資的にはPER半分くらいで買えれば有利かなあとは思うところですね。それぐらいでしっくりきます。
そしてフェイスブックはPER30みたいです。これくらいじゃないですかね。
あるいはもっと高くてもいいかもしれないって感じるんです。時価総額じゃなくて一株で見ると。
しかしオービックなら半分でも兆なんですよね。
フェイスブックはまた今見たら100兆でした。
フェイスブック株急伸、時価総額1兆ドル突破-米独禁法訴訟で勝訴 - Bloomberg
自分はきっと時価総額から・・マクロから考えたらオービックには兆をつけられません。
フェイスブック100兆はもっと無理です。
でも株式から・・ミクロから行けばオービックにPER40はなしとは言い切れない。フェイスブックPER30なら高いとも断じられない。
現実にはオービックは兆がつき、フェイスブックは100兆です。
時価総額から考えると自分はもう現実に追いつけないわけです。
しかし株式から考えるとオービックPER40もフェイスブックPER30も理解できます。そしてそうしたときには自分のイメージは現実に追いついています。
視野が届くミクロからはまだ現実に届くわけです。
自分はそうですが、いかがでしょうか。
まあ結局は同じところを指すようなところもあるので上で言った通りどっちでも見てもあるいはどっちも使ってもいいと思うけどね。小さい会社では時価総額を使うとかね。
そして会社の株式の見方はアップデートされていいと思うのです。
そして見方が現実に届かないとなるなら工夫されるべきだと思うんです。
そんなところでひとつの投げかけになるのなら。
そんな一つの投げかけが幻の時価総額なのであります。
あなたにとって時価総額は現実ですか?
それとも幻ですか?
そして現実に届く見方をしていたいものですよね?