時々というかしょっちゅうですかね。
この会社はこんなに素晴らしい。この会社はこんなにいいんだぞ!みたいな感じに言う人が居ます。
もちろんいい会社というのはあるでしょう。
しかしね・・・
いい会社を持つことがすなわち投資成績がよくなることか?というと違うよね?という疑念から考えをまとめる話。
それとこれは基本的に別のことだよね?って話からそのバランスを考えようかって話。
未来工業という会社があります。
いい会社っていってもね。
それは様々な形があるというかどういうものをいい会社とするか?なにをもっていいものとするかの形は一つじゃないと思うところですが、でもひとつのいい会社の形として最近はあまり聞かないけど未来工業という会社があります。
この会社は一時日本一のホワイト企業として名を知らしめたことがあります。
今でも未来工業を褒め称える記事などはたくさん残ってます。
例えばこれら。
業績だってわりとシクリカルなことをしてるけど赤字もなく安定です。
https://monex.ifis.co.jp/index.php?sa=report_zaimu&bcode=7931
このようにきっと従業員よし顧客よし取引先良しの三方良しである意味企業の理想のかたちかもしれない未来工業はやっぱりいい会社と言うしかないと思います。
しかしそれでもね。
以下は未来工業の年足株価チャートです。
未来工業【7931】の株価チャート|日足・分足・週足・月足・年足|株探(かぶたん)
まあ確かに2007年1665円から2019年3345円とか伸びてないことはないですよ?
これだと12年で複利6%くらいですね。それと配当。同時期のTOPIXはマイナスですのでまあ悪くはないとは言えますが、これは高値高値を選んだもので道中は1665から600とか落ちたりもしてますし、この記事を書いている2021年時点で1758円とかでこれは2007年1665からは複利1%もないくらいです。
これは十分な投資パフォーマンスでしょうか。
業績という視点でも見てみましょう。
未来工業のBPS成長率をとると2010年から2021年まででおよそ年複利5.3%くらいです。
11年で1504.58から2665.09まで。
まあこれは必ずしもディスってるという話じゃなくてこの結果自体・・それも安定した推移をたどってる自体はどちらかといえばいい方で悪いものではないんですけど・・
何が言いたいかというと色んな方面から極めていい会社とされてきてる未来工業でも投資パフォーマンスとしてはこんなもんなんだということであり、そして企業業績としても悪くはないくらいだけど傑出してるとまではいってないという現実です。
そしてここで言いたいのは・・・いい会社を持つということがすなわち優れた投資パフォーマンスになるとは限らないということです。
それが傑出した”いい会社”であったとしてもそれがすなわち企業成長で傑出するということではないし、したがって投資パフォーマンスも傑出するとは限らないし、でるにしてもものによってはというかだいたいにおいてタイミングも選ばないと良い投資成績にならないということです。
投資はいい会社を持つゲームではないのです。
投資はいい会社を選び持ったものにいいスコアを出すゲームではありません。
そして投資成果につながるものならばこれは2つの要因しかないわけです。
株価はEPS×PER、あるいはBPS×PBRです。
つまり投資パフォーマンスがより優れたものになるとするなら、それはEPSあるいはBPSよりあがるものを選ぶか、あるいはPERあるはPBRが低いときに買うつまりタイミングを選ぶしかありえません。
投資成績を左右するのはその投資する会社がいい会社か?どうかではありません。
それがEPSBPSを伸ばせるか?あるいはPERPBRが売るときより低いときに買えるかどうかなのです。
いい会社だからよりPERPBRで買いやすいってロジックは正直組難いとは思うところで、ならばいい会社であることはEPSBPSが伸びやすいとするのはあるいはできるかもですが、これはいい会社だから投資成績がよくなるではなく、それがEPSBPSが寄り伸びるから投資成績がよくなるという構造になると言えるのではないか。
この辺はここらあたりでも。
もちろんどんな会社をいい会社とするのか?という視点はありますね。
これを例えばいい会社とは長い期間に安定的にかつ大きくEPSを伸ばす会社だとかするなら投資パフォーマンスも優れることになるでしょうね。
その視点でこのわりとユニークなそして従業員がハッピーでホワイトで業績も安定している未来工業はそんなにいい会社じゃないとすることもあり得ると思います。
・・・しかし未来工業はいい会社ではないですか?
他には例えば任天堂は素晴らしい会社だと思います。
ここ数年は株価も素晴らしい推移ですね。
でも任天堂の2007年から2012年は大きく株安し、つまりは大きく投資パフォーマンスを押し下げました。
73200円から8070円まで!およそ9分の1!
この株安の間にも任天堂は世界のユーザーから支持される(まあ数は減ってたかもしれないけど)素晴らしい企業だったはずです。任天堂ならファミコン、スーパーファミコンの昔から常に素晴らしい企業であり続けました。
素晴らしい企業だから今の繁栄と株高があるとしてもいいでしょう。
しかしそれ以上になぜ2007年から2012年まで株安したか?そして以後株高し今があるのかといえば・・
任天堂がいい会社か、悪い会社かであるからではなくその株式のEPSPER及びBPSPBRがそのように上下したからです。
未来工業も任天堂も素晴らしい会社であり続けています。これらはやはりいい会社だと言えます。しかしながら!
投資パフォーマンスを決定するのはその会社がいい会社か悪い会社かではなく、そのEPS及びPER(BPSPBR)がどのように変化するかなのです。
というわけです。
こうも言いました。読んでわりとムスッとしてる方もいるかなあって思うけど、実は本題はこっからなんだよね。
とは言ってもね。
いい会社持ちたいよね。もってる会社をいいものだと信じていたいよね。
「いいものを持ちたい。」
これはわりとプリミティブな欲求だと思うわけです。いやもちろん悪いものもって儲かるよりいいものもって儲かるほうがいいじゃん。
特に会社を保有することではなく売ることで売買差益を狙うトレーダーではなく、会社を保有することによって利益を狙う投資家ならばその傾向はより強いはず。
ずっと付き合いともに儲けるつもりであればこそ良いと思うものを選んでいたい。
いやあ、当たり前の願望なんじゃないかな。
そしてその願望に従い行動すること、いいと思う会社を存分に持つこと、時にはもってる会社はこんなにもいい会社なんだと言いたくなるのもわかるし言うのも良いでしょう。それがどんな意味でいいとしてるのかはわからないけど。
それにそもそもこの会社はいい会社でないなあと感じるものを持ち続けることよりこの会社はいい会社だと思うものを持ち続けるのならそりゃ後者の方が健全だし自然な形でしょうよ。
だから自分が言いたいのは以下だけなんだ。
けれどそれと投資パフォーマンスは別。
だから投資パフォーマンスを決定するのはEPSBPSがより伸びるか買ったPERでもPBRでももっと高値をつける他の投資家が出るかどうかです。
それがどんなに素晴らしい会社であっても例えば未来工業くらいいい会社であってもEPS伸ばしたり他の投資家がより高いPERでもほしいと言い出すあくどい会社のほうが投資としては儲かるの。
それとこれをちゃんと認識して区別して。
ずっとそう言ってます。
せいぜい自らが素晴らしいものと思うもので固めることともっと投資パフォーマンスがでうると思うもののバランスに苦悩してくださいよ。
それで多少パフォーマンスで劣後しようと自分がいいと信じるもので固めるもよし、あくまでもパフォーマンスを追いそれを見込めるとするもので固めるもよし。
好きにしてくださいませ。
パフォーマンス追ってパフォーマンス出るとも限らないし、いい会社ってやっぱり利益が出てることが多そうに思えるから(利益でない会社はあまりいい会社と思われないがただしいか)、好きなもので固めたほうが長期のパフォーマンスも優れちゃうかもしれないというかいいと信じた会社を長くもってたらすごく儲かったとかは割と聞く話ともなりそうです。
だから好きにしてくださいませ。せいぜい苦悩してね。
でも、自分がどのような選択をしてるのかを理解していたいですよね。
出てきた結果にこんなはずじゃなかったなんて10年後に思うのは避けたいものですしね。
それで自分ももちろん
自分がいいと思うものを持っていたいと思うわけです。
同時に投資パフォーマンスをあげる努力もしたいと思うところで。
そんな感じにそのバランスにはせいぜい苦悩し探して続けておこうと思うわけです。
あるいは運良くいい会社思えてかつ期待しうるパフォーマンスが両立しうる選択も目の前にくるかもしれませんしね。
いい会社を持つこと
投資パフォーマンスが期待できる会社を持つこと
そのバランスをどう考えますか?