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自己資本比率まとめ

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自己資本比率について

今回は自己資本比率なる指標について思ってることをまとめてみようなんて話。

 過去にはROEとか、消費者独占企業とかでやったシリーズというわけではないけど類型みたいな。

kamomenotoushi.hatenablog.com

kamomenotoushi.hatenablog.com

 

自己資本比率とはなんでしょう

ここでも見てください。

fsreading.net

一言でいうと資産(財産)のうち返す必要のない資産の比率ですね。自己資本でないものはいつかはわかりませんがいつかは返す必要があります。ただ会社が精算でもされない限りは返し切る必要はないことが多いですね。

 

で、この自己資本比率は高いことは経営が安定して安全安心な傾向があるってのは正しいと思いますし、投資の話ならこの自己資本比率を投資条件の一つにしてる人も多い印象です。

 

その中で自分は自己資本比率の絶対値は投資を考える際にかなり優先度が低いとなりそうです。

 

なんでそういうことをまとめつつ自己資本比率をもうちょっとうまく使いたいよねという話。

まず自己資本比率が高い=倒産しないは嘘ですから

倒産の定義を見てみましょう。

ja.wikipedia.org

”概ね、個人や法人などの経済主体が経済的に破綻して弁済期にある債務を一般的に弁済できなくなり、経済活動をそのまま続けることが不可能になること”です。

 

もっとスマートに言うとお金払えなくなったら倒産です。(手形を銀行が取り扱ってくれなくなったらという定義もあるみたい)

 

倒産という観点でいうとその企業が安全かどうか否かは自己資本比率の高低ではなく、お金払えるかどうかです。つまり資金繰り。これはもちろん自己資本比率が高いほうが資金繰りに余裕があることは多いですが、一致ではありません。

 

自己資本比率が高いものでも危険なものはある。

 

実例挙げないとわかりにくいかもですね。例えば一億円の受取手形と借金100万円があるとき、自己資本比率はおよそ99%で極めて高いと言えますが、これ借金返済日に手形を処分でも借り入れでもなんでもお金用意できないと倒産ですね。これはその受取手形の先が不渡りでも出しそうなら自己資本比率99%でも極めて危険といえる状態です。

そのように自己資本比率は低くもないのにそして赤字でもなく黒字であるのに返済期日にまでお金を用意できずに支払いできずにそこで事業を継続できなくなるという黒字倒産も多くはないですが時々はあります。

 

なので企業の安全性、継続性に直接関わるのは自己資本比率ではなくて、資金繰りです。逆に言えば資金繰りが安定してるなら自己資本比率などいくら低くてもいいんです。極論を言うとマイナス・・債務超過であっても構いません。

その意味でCF計算書>貸借対照表です。もっともそれらは影響し合うので貸借対照表が悪いとCF計算書にも悪影響は出ますけどね。(端的には財務CFで不利になる)

 

じゃあどういうふうに自己資本比率は使うのか?

実は自己資本比率はあまりそれだけだと意味がないと言えるんです。

なので、これを使う際には他のものと併用するとか長期の推移を確認するとかして使うのがいいと思うんですよね。

例えば有利子負債の推移が増えてないのに自己資本比率が悪化してるとかはむしろ投資理由になりえたりします。

 

そんなわけでそうですね。以下に思いつく限り並べてみました。

自己資本比率が低いものを見た際にその理由を分類しながら問題あるなしを判別し、投資判断に役立てるというのはいい姿勢だと思いますので参考にしていただけるなら幸いです。

 

自己資本比率が低い低くなる理由あれこれ。 

・事業が儲からないタイプ

例:文教堂や最近のペッパーフードサービス小僧寿しなど。

これは純粋に不味いタイプです。

事業で儲からなく赤字が出たりするので負債も返せず資産も増えず財務が悪化してるタイプです。耐えられなくなると増資で株主価値の希薄化が起きたり、上場廃止や倒産の理由にもなったりもするので、基本的には投資は避けたいタイプです。

ただ中には危険性を見極め、大丈夫だと判断し投資で利益を上げるような人もいますので、知識などがついたら節度もって付き合うのも一つの手かもしれません。

 

・事業にやたらお金がいるタイプ

例:多くの不動産賃貸、鉄道や製鉄や海運など事業に要する費用がすごくかかる設備産業

賃貸不動産やホテル産業や鉄道等は始めるのにはものすごくお金がかかります。そしてお金がかかる割には収益性が悪く借り入れ返済もゆっくりしたものになることも多いです。

そのかわりこの種のものは安定的に稼ぎ続けるものは多いです。営業利益率などが高いなどの特徴を持つのも比較的多いです。

特徴として資産の内に固定資産の占める割合が多いのは特徴でしょう。たいてい借入金が大きいです。ただ長く稼ぎ続けていると借り入れを返しきり財務もきれいになってるものもたまにありますが、多くは多くの借り入れで自己資本比率が低く出ています。

 

一方収益性が低いと財務の改善が一向に進まずその中で業績が悪化などすると一気に苦しくなるのもあります。

 借り入れが多い中で収益性が落ちると返済などがスムーズにいかなくなり厳しくなりがちです。最悪大切な設備を売りに出したり金策に追われる必要も出てきます。

製鉄所とか海運などに利益が安定しないものがそのようなケースになることも多いそうです。またホテルなどあまり収益性が高くないものも顧客数などが減ると苦しくなりがちです。

 

なので業績悪化には要注意というか営業利益率あたりで高くもないもの、安定してないものは要注意です。逆に高い営業利益率などで安定している場合は自己資本比率が低いことはさほどマイナスにならなくあまり恐れる必要もないでしょう。


・儲かってる中で積極的に借り入れをし投資に向けてるタイプ。

例:神戸物産、高成長不動産販売、好調なときのペッパーフードサービス

 事業が順調でもっと成長を志すような企業で事業拡張にかかるお金を借り入れに頼りつつ事業拡張を早めるものがあります。この種の企業は多く自己資本比率が低くなりますが、低くなることが好調の証のようなところもあります。

例えば、店舗や工場を作ったり取得したりしつつ事業を伸ばすもの。他はリースや不動産など資金を回収するのに時間がかかるものとか高価格帯の商材だと売れてるときに借り入れ拡大し自己資本比率が悪化したりします。

 これらは低自己資本比率や低自己資本比率化が現れがちですがそれは事業好調の証明で自己資本比率が低い(ほど事業が好調という)ことが投資理由になったりします。

ただ注意が必要なのは事業がつまずくと過剰投資になって、余計な設備からくる維持費や借入返済が滞ることになり一気に”事業が儲からないタイプ”に転落する恐れもあるので、この種のものに投資する場合は業績の変容により注意するのが良さそうです。

 
・借り入れとかはないけど伸びると買掛未払金などが速く伸び財務が悪化するタイプ

例:人材系や建設系など

上の積極投資タイプとかぶる部分はありますが、事業にあまり大きな資産を必要としなくかつ手形などの非現金決済が大きいものは拡張時に自己資本比率が下がりがちです。

仕事を多くこなすことが未払金などを多く発生させて見た目の自己資本比率が悪化します。

これらは順調かどうかは未払費用などが右肩上がりになると同時に受取手形売掛金も同等以上伸びているかどうかとかを確認するといいと思います。また同時に借り入れがなかったり、借り入れを減らしていたりもするのでそれもみるといいでしょう。ただホントに伸びが早いと資金繰りが間に合わなくなるので借り入れをするという事もありえるのでやはり業績・・特に売上が伸びてるかも合わせてみるのがいいかもです。

この種は売上成長が止まってもあまり資金繰りに困ることも少なく倒産の危機とかからは遠い種のものです。同時に外部環境に左右されやすいものも多いので(だから一気に伸びる)落ち込むときは売上も一気に落ち込むまでいき赤字なども出る場合もありますので上の儲かってる中で積極的に借り入れをし投資に向けてるタイプと同様に業績悪化に特にを気をつけているのが良いと思います。

 

・銀行など金融系タイプ

金融系の多くは、負債を大きく抱えて規模を大きくして事業するというスタイルが大半と言えそうです。 

預金を集めてそれを運用するなんてスタイルだと自己資本比率は低くなります。

なのでこの種の会社は自己資本比率が低いことが正常です。

銀行でも預金を集める事自体は自己資本比率低下要因ですが、これは銀行としては良化要因です。

その他商品を借りて買ってそれを貸すなんてしてるリースなども順調だと自己資本比率が低く抑えられがちです。借り入れを増やしながら伸びたりします。

ただ金融系自体はお金の動きが複雑で状態が見定めがたいところはあり、基本的に上級者向けと思われます。上のことも他の要因でひっくり返ったりもします。

時折は大きな損などをだして倒産危機などに一気にいってしまうこともままあります。節度もって付き合いたいところですね。

 

ROE上昇狙いタイプ

自己資本比率ROEに影響を与えます。

3期平均デュポン式分解(四季報CDスクリーニング) - 大河の一滴

端的に自己資本比率は低いほど財務レバレッジをかけることになるなりROE向上(企業価値向上)の観点から好ましいとする立場もあります。

故に問題ないとする範囲でROEをあげるために自社株買いなどで自己資本を減らしたり、または借り入れを増やすなどをして自己資本を下げる(コントロール)のを意識してそうな企業もあります。

これは会社が問題ないない範囲と判断する範囲でやってるので、多くは問題ないケースとなりそうです。会社がそう宣言してるかもしれないし大型の自社株買いをしたり一見不必要な借り入れなどをしてる場合はこれに当たるかもしれません。 

 

また日本ではあまりみないですが米国などではこれをすすめて、自己資本比率がマイナス・・つまり債務超過まで進めている企業もあったりします。資金繰りに問題ないから自社株買いや配当を極限まで・・借り入れしてまで行うとそのようにもなります。資金繰りに問題なければ自己資本比率はいくらであってもいいという発想の極地にあるようなものですが、日本では法的な理由でそこまで極端なものはないですが多かれ少なかれこの方向のものは増えてきそうですのです。

これも業績・・というか資金繰りが大丈夫なことに担保されてるのでそこは大丈夫か見ていく必要はありそうです。

・その他

 自分が挙げてない理由で自己資本比率が低く出てるケースもありそうです。

 とまあまとめましたが

ざっと眺めるに自己資本比率が低いことがすなわち不利に直接つながるのは・・

事業が儲からないタイプだけだと思うんですよね。

その他はむしろ低いことが有利さを示すことにもなりかねないものが多いように思えます。

ただ業績が悪化すると一気に事業が儲からないタイプになりがちなので注意は必要なことは多そうですけどね。その意味で自己資本比率はリスクが高いはそのとおりになりそうです。

 

ですが自己資本比率・・貸借対照表だけでは企業状態を測るのは不便なことはおおそうで、損益計算書やCF計算書も絡めて判断すると言うか・・それらは相互に影響し合うのでそのへんの影響を見ながら判断をするのがより良い判断につながるとおもうところです。

その中で自己資本比率が低い・・あるいは低くなってるというものもどのような理由か分類して必ずしも避けるわけでなく場合によっては、業績やCFも確認しながら利用するなんて姿勢のほうがより投資も明るくなるのかな?とか思ったりするわけで自分はそうしようと思うわけです。

 

あなたは自己資本比率を投資にどう役立てますか?

 

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