大河の一滴

大河の一滴

まったり一滴を注ぎ続け大河になる大河をつくることを目指す投資ブログ

MENU

個別投資事例振り返り:沢井製薬

スポンサーリンク

 FPかもめとしては特に印象に残ったよね?と言えそうな投資案件をつらつらとその振り返りをしていくというエントリー。

この記事をあげた現在(2017年12月)見込みを外しましたという失敗事例となりそう。そういう意味でも印象深く。

 

(失敗)事例:沢井製薬(4555)

まず注目した理由はここ。2016年9月だね。

kamomenotoushi.hatenablog.com

注目した所は基本スペックの高さ。

業績が基本右肩上がりであること。利益率も高くもあったり。

財務傾向も順調に拡大していること。

CFも同様で基本ポテンシャルが高いように見えました。

また事業性としてお薬は繰り返し飲むということでかつホイホイ乗り換えるようなものでもなく競合は多そうも堀はあるかなと?実際リーマン時も大過なく乗り越えてます。

またジェネリックということもありお薬開発して大外しというリスクも低いだろうと。

上記ぐらいの考えで(自分はこの程度以上の定性分析はあまりしません)、数字上の裏付けもあり相当ディフェンシブだろうと判断しました。

それが、PER14程度で絶対的なPERの高さも高くはないように思え、かつ過去沢井につけられていたPERからすると最低水準のPERだったということもあり見た時点で少量もってました。

少量な理由は、成長鈍化が来るとしたらもっと下のPERもありそうだという理由です。

 

この時点では、時々ある有望銘柄の一つというポジションでした。

強くは期待するものでもなく、実際に2016年9月からはもうちょっと株価は下がり下のPERをつけることになりました。

含み損でしたがこの業績傾向が続くならいずれとあがるでしょうと少量で保有を続けていましたのですが・・・

 

変化があったのは、2017年4月

沢井製薬【4555】2017年04月20日 開示情報 - 米国Upsher-Smith Laboratories, Inc.社の買収合意(子会社化)に関するお知らせ

 上記のIRにてです。

アメリカの製薬会社の買収となります。

 沢井製薬の規模からは背伸び気味の大型買収と言えそうです。

規模は1200億円ほど。でかいですね。

そしてややこしいので中身をよく読んでほしいのですが、事業分割を伴い売上400億営業利益150億純利益140億程度の会社となります。

これを100%の子会社とするということなのでまるまる沢井製薬の業績に乗っかることになります。

下手したら沢井製薬の利益は倍の規模となると踏みここで一気に大注目となったわけです。

ただ該当のアップシャースミス(以下USL)は、非上場企業となり詳細な情報を手に入れることが難しくまた事業分割を伴ってるので不透明感高い案件に思えました。

沢井製薬のIRに問い合わせてみましたがUSLの情報はIR以上の開示はしてないとガードが硬かった感じです。

USLが例えばキャッシュフローマイナスで参加すれば財務悪化もあり一気に沢井は追い詰められることになります。

またこの買収にトラップがあるなら出ている数字自体も信用出来ないものかもしれません。

ときに東芝が海外原子力会社を買収して超絶しくじりをしていたことであり、うまくいけば大きく伸びるが、あるいは大失敗の可能性もあるというハイリスクハイリターンな立ち位置に。

 

もっとも、USLは開示の数字だけでも過少資本(ROE100%超え)であり営業利益高く、いくらなんでもこの数字でキャッシュフローマイナスはないだろう、そして過少資本にする前提として順調な業績であるというのが普通に考えて合理的だろうと考えるところで赤字参加は考え難いとしました。

また調べたところによると、USL社は歴史も長く米国で確固たる基盤もあるということなので、それらのことと出ている数字に整合性もありおそらくは大丈夫だろうと。

 

この時点で大きく見込みを外すだろうと思える要因は、出ている数字にトラップがあり・・端的には沢井製薬は騙されて不良会社を高くかわされたという可能性です。

ないとはいえない。(結局のところそれ以外の理由で見込み外ししたとなりそうです)

 

なので、この時点では大きく飛んでもしかたないよね?で済ませそうな範囲内で買い増しました。

この時点でPFの有力の一角に。

 

あと実は気になったのがこのIR。関連と言うにはとても微妙ですけど気になりました。

沢井製薬【4555】2017年05月15日 開示情報 - 投資単位の引下げに関する考え方及び方針について

株式分割ちゃんと考えるよ?ってIRなんですが、実感としてはこんなのふつー開示するか?です。言うまでもないこと。をあえて言ってきてる。

分割しないのですか?してください、しろと言うか問い合わせに辟易したとかも考えられますが、これ、株主分割するぞというメッセージなのではないかと?勘ぐったわけです。

業績がジャンプアップし株価は上がるはずだと考えているということだね。つまり自信あり。とみなせなくもない。

・・・なのですが、このへんは深読みし過ぎかもしれません。とりあえず憶測レベル。

 

これでは株価は反応しませんでした。

ジェネリック周りがあまり景気のいいニュースがでてないのと(だからPERも低い水準で抑えられていると言える)、東芝の件とかでデカイ海外企業買収が不安視されているとかだったのかなあって思います。

 

で、通期決算。

決算を見てあれ?って思います。

USLが5月末買収完了ということで6月から参加のはずです。それなのに、来期計画では買収前の延長線と言える数字が出てました。

沢井製薬【4555】2017年05月15日 開示情報 - 平成29年3月期決算短信〔日本基準〕(連結)

あれ?って思って読み込むとありました。

今後の見通しにて

「この見通しには、4月20日に発表しましたUpsher‐Smith Laboratories,Inc.の買収に関わる諸費用は織込んでいますが、当該子会社にかかる売上と収益の連結影響は一切織り込んでおりません。」

 

つまりこれにやっぱりまるまるUSLが乗ることになるということで問題なく保有継続。

ただ、上記にあった見込み外しの可能性が減ったわけではないので買い増しは行わず。

ちなみにですが、四季報予想とか会社予想をそのままコピーしたような数字が出てました。それはまあいいんですが(よくない)本文にUSL買収でUSLの売上440億だっていってるのに会社予想を滑らしているところがザルです。

二つの意味で。決算短信もちゃんと読まずに会社予想をそのまま滑らしているところと、本文に440億程度売上増えるはずなのに(USLか沢井が超売上を落とさなければ)、あれ?って思うはずなのにそのままスルーして滑らしているチェック機能のなさ。四季報もその程度とわかる事例が見れたのは収穫だったかもしれません。

 

そのまましばらくしましたが、1Q四半期決算にて。

ここでもあれ?って思います。

実績が沢井本体の過去の数字に準じる程度であったので。

6月はUSLの実績が乗ってくるはずですしね。

 

ここで再度IRに問い合わせして数度やり取り。

端的には四半期の実績はUSLの実績は含まれるのか?という感じですね。

今度はガード甘めな解答も得られました。

 

1QではUSLの実績は含まれない。2Qで6月分が含まれることになる。

会計上の都合でUSLは3ヶ月遅れで実績に乗ってくる。

2QまでにはUSLも含めた業績計画を発表する。

そしてこれが重要なのですが、「現状、USL社の業績は当初の計画を上回る状況で推移しております。」という言質を頂きました。

 

100億~200億円規模の利益実績があったのに赤字で計画を立てるとは考えにくく、おそらくは過去に準じる利益水準の計画をたてその計画を上回っているという可能性がぐっと高まり、かつ2Qには実績と修正計画が出て来る事になる。

 

これは重くリスクをとる意味があると更に買い増しし大きく保有することにしました。

 

ここまで来ると買収で利益が減るとなるまでの見込み外しはブラック・スワン。まさに予想外の悪用因ぐらいになると判断しました。

例えば沢井固有の理由で薬の副作用で死人が出るとか信用の失墜とか戦争や天災とか市場全体の経済危機とかね。

この辺は来てしまうならおとなしく被弾し損を被りその後次善策を考えるとすることに。そのあたりは覚悟。

 

下落余地。見込み違いとなったらどうするか?

まず心配なのは大型買収を伴うので財務が相当悪化するということ。

ただこれは、1200億程度で沢井本体で近年は毎年200億規模の営業CFも出ていてそこにUSLの営業CFも加わるとなると大きいけど十分資金繰りは成り立つという判断。

ジェネリック薬品自体に繰り返し使うという 商品性もありまあ大丈夫でしょう感。

USLも利益半分も出てCFマイナスとかわけわからないというかまずありえないと思えるところで、このあたりも沢井とUSL合わせて利益やCFが減りましたはなかなか可能性が低くなりそうだ。つまりはEPSはあまり下がることは考えにくい。

もしEPSが大幅に落ちるなら、沢井を信じた責任をとり一緒に心中するしかない。

 

またPERは低くなることは有り得そうです。これは2〜3割減までありえると想定してました。

ただリーマン時にも今の水準より高いPERをつけていて、仮に成長が止まるとしてもこの状態でPER8とかはないとはいえないけど、下がったら個人的には成長なくても安いとしか思えない水準なのでこれもおとなしく含み損抱えながら再評価の機運を待とう。

というわけで、この投資により致命傷を負う可能性は極めて低いと判断、また見込み通りにいけば早晩(明確な期限付き)に大きな飛躍が数字として示される案件と判断。

すなわちローリスクハイリターンな案件(ノーリスクではもちろんない)としてたくさん買ってもよいとした次第でありました。

 

というのが経緯でございました。

それで自分としては重めに持つこととなり2Q、USLの実績が乗り、通期修正が見込まれるのに望んだわけですが。

結果。

平成30年3月期 第2四半期決算短信

http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1532749

2018年(平成30年)3月期第2四半期 決算説明資料

http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?template=ir_material_for_fiscal_ym&sid=42496&code=4555

 

自分が見込んだほどUSLは業績に貢献せず。見事見込み外しとなったわけです。(何より通期の業績計画が物足りない)

思った以上で海外企業買収にまつわるコストが掛かるようです。

周辺コストもかかっていることもありますが、のれん代が大きいみたいです。過少資本が故にのれん幅が大きくなったということでしょう。ここは考えが至らなかったと言えます。

 

状況を鑑み、重くした比重は重すぎである。また見込みを外した以上一度保有量を減らそうという判断をして保有量をかなり減らし様子見をするという判断をして2Q後にかなり所有を軽くしました。

 

ただ上の資料で2Qの北米6月実績はのれん代535百万、特殊要因買収関連費用13億ほどの影響を除くとかなりの利益も出ているとなりそうでかつ一ヶ月で42億の売上がでてて、買収時に開示されたものに近い実力はやはりあるということにはなりそうで、長期的な見通し事態は結構明るいのではないかと思いますし通期の計画も弱気な方なんじゃないかという気はしています。

実際コストがかかってそうも規模は普通に増したし買収コストを回収すれば大きく利益が伸びてきそうな気はしています。

 

その後

増資が発表され。

債務は気に入らなかったようで増資となり、また一段株安に。

ここで増資幅と株安幅を見て増資幅の方が広そうということで一度様子見分も処分。

IRや株価等をチェックしながらまたの機会を待つことにしたという感じが今です。

 

反省としては、情報がなかったので判断しようがない中で突っ込んだ部分はありますが、海外買収事例はやはりいろいろコストがかかりそうだと言う事(逆に言えばあるいはコストをかける≒しっかり地盤を作ろうとしているとは言えるかもしれない)とか過少資本に対するのれん償却費がやはり大きくなるとか、学べたと思います。また結局のところ被弾はしましたが投資全体としては大きく影響はしてないよね?という感じに今のところ立ち回れてます。そのあたりは見込み外しのときの被害想定もして(実際見込み外しもその想定内の軽い方の被害で収まりました)、実際に見込みを外したと判断したときにすぐに量の調整をできたところも良かったかもしれません。

 

 そんな感じです。

広告を非表示にする